平井 呈一
定価: ¥ 651
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発売日: 1985-05-03
発売元: 東京創元社
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恐怖の愉しみ (上) (創元推理文庫 (535‐1))はすでに読まれましたか?
まだだと仰るならこの機会に是非、お求めください。
そこまで強く薦める理由はただひとつ!
あなたに新しい世界への扉を提供してくれるでしょうからです。
内容自体は決して難しくありません。
むしろ読みやすく、理解しやすい文章の記述だと思います。
多くの読者の評価を得ていることも、この一冊が価値の高い書籍であることの証明であるといえるでしょう。
怪談の名シェフの腕前が堪能できる、とっても美味しいアンソロジー
平井呈一氏が選び、訳したアンソロジー『怪奇小説傑作集1』(創元推理文庫)と本書に導かれて、怪談・奇譚の魅力の虜になりました。前者のなかでは、わけてもハーヴィーの掌編「炎天」にぞくぞくしました。熱く、寝苦しい熱帯夜の一服の清涼剤として読んでほしい作品。ローレンス・ブロック編『巨匠の選択』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)では、「八月の熱波」というタイトルで読むことができます。
本アンソロジーは上下巻に分かれて出ていますが、私が好きな作品はこの上巻に多く入っています。コッパードの「消えちゃった」、エルクマン=シャトリアンの「見えない眼」、バレイジの「象牙の骨牌(かるた)」、ソープ・マックラスキー(名前もユーモラスで笑っちゃう)の「慎重な夫婦」、オニオンズの「手招く美女」。
主に英国になるのかな? 怪談の妙味とユーモア、惻々とした恐さなんかがあって、どれもそれぞれにお気に入りの作品たち。
なかでも好きなのが、コッパードの「消えちゃった」。
ひゃっこい恐さって言うんかな。ひゃっ ていう清涼感?があって、ラストでとり残されてしまったよ、おいおい、みたいな余韻もなんとも言えません。変てこりんで摩訶不思議、奇妙奇天烈な話。好きなんだなあ、これ。
エルクマン=シャトリアンの「見えない眼」は、ぜひ、『乱歩の選んだベスト・ホラー』(ちくま文庫)とセットにして読んでみてください。すると、「あれれ? これってなんだか……」と、変てこりんな気分になるかもしれません。
バレイジの「象牙の骨牌」も良いなあ。ユーモラスな幽霊譚て言うかね、こんな幽霊屋敷だったら行ってみてもいいかな。
平井呈一氏の訳は作品によって当たりはずれが大きいようですが、こと本書や『怪奇小説傑作集』のアンソロジーに関する限り、見事な訳文だと思っています。もしかすると正確な訳文ではないのかもしれませんが、名人芸的な風趣、雰囲気があります。怪談のアンソロジーとしては、第一級の出来栄えではないでしょうか。
平井氏は幽霊好きのようです。
■収録作品
ミセス・ヴィールの幽霊 デフォー
消えちゃった コッパード
希望荘 シンクレア
防人 ウェイクフィールド
チャールズ・リンクワースの懺悔 ベンスン
ブライトン街道で ミドルトン
見えない眼 シャトリアン
象牙の骨牌(かるた) バレイシ
クロウル奥方の幽霊 レ・ファニュ
ラント夫人 ウォルポール
慎重な夫婦 マックラスキー
手招く美女 オニオンズ
平井呈一氏の選んだ傑作選だけあって、有名どころと、おっと思うような掘り出しものが万遍なく収録されています。
ただ、平井呈一氏は幽霊の話が好きなようで、幽霊ものが多いのがちょっと気になりました。僕はあまり好きでないからなんですが。怪奇小説傑作集1に比べると、かなり平井呈一氏好みの作品集になっているのではないでしょうか。
僕の掘り出し物は、マックラスキー「慎重な夫婦」です。かなり面白かったのですが、平井氏も書いているように作者がどんな人だか全然わからないのです。そのうち、じっくりゆっくり調べてみようかなと思います。
